日曜日の朝がすき。家族みんながひる近くまで眠りこけるその中で、わたしだけがひとり、ちょっと早めに目をさます。猫といっしょに食事をし、彼女にソファの席をゆずる。ごろごろとのどを鳴らす様子はなんだかご機嫌らしかった。陽のすけるカーテンをこえて窓をあける。
「うん、きもちいねえ」
しゃんしゃんと鈴をならし、寄ってきたのはのんびりやの猫。ソファの子とはべつの三毛猫ちゃん。わたしはゆっくり彼をもちあげ、2人いっしょに風にあたる。テレビのBGMはひどく不釣り合いで、けど子どもの頃からかわらない日曜日の朝の雰囲気を漂わせていた。そこに混ざったベルの音。自転車のブレーキの音。
「わっ さかえぐちくん!」
「やほー は早起きだね」
「意外?」
「うん、まあ」
「なにそれ。ひどいなあ、わたしだって早起きくらいできるよ」
「そっか。ごめんごめん」
そういう栄口くんこそ今日は部活なの?もちろん答えはイエスである。(だって大きなエナメルかばんもってるし……)。なんかどうでもいいこと聞いてしまったかなあ、なんて後悔しつつ腕のなかの猫をなでる。ねむたいらしい、その身体はなんだかすこし生温かった。
「あれ、そのねこ、」
「うん。一ヶ月くらい前から飼いはじめたの」
「もう一匹の黒ねこは?」
「あっち。ソファを陣取っていい気分ってかんじ」
「ははは らしいや」
彼の笑顔はとてもさわやかだ。テレビの音とはちがってすごくこの朝になじんでいる気がする。わたしもつられて笑った。あのね、栄口くん、
「この猫ね、なんかあたなに似てるんだ」
「えー?(くすくす)」
「まずこのぶち柄!栄口くんのかみの色とおんなじなの」
「へえ」
「うん」
「……えっ それだけ?!」
「冗談だってば。よくお腹もこわすよ」
ちょっとやめてよもー!なあんて彼があんまりにも必死になっていうものだから、わたしはおかしくてふふふっ、肩をゆらした。「大丈夫、やさしくてちょっぴりあまえ下手で。それですんごくかっこいいってところもちゃあんと似てるったら」。えっ!なんて。そこで彼のおどろいた声を聞く。
「えへへ、しってるよ、ずっと見てたもんね」
「う、……!」
「ああほら、はやく部活いかなくていいの?練習はじまっちゃうよ」
「で、でも、」
「いってらっしゃーい」
行ってらっしゃい、
きっとこの腕の中に
お帰りなさい
「、その、かえり、家に寄っていいかな……!」
「うん?ねこさわりたいの?」
「ええと、まあ、なんていうか。……ああとそれじゃ、いってきます」
くすくす、くすくす。やっぱりね、わたしは日曜日の朝ってだいすきかも。